MOON
月
観測所で撮影した月面の拡大写真を紹介します。
下の赤い番号のクレーターの写真を見ることができます。
下のギャラリーで番号のクレーターの写真をクリックしてくだ さい。
なお写真の解説は[21st Century Atlas of the Moon : A.Wood] と [The KAGUYA Lunar Atlas : M Shirao] を参考にしています。

ギャラリー

1.アルザッケル
直径 97km
アルザッケル、アルフォンスス、プトレメウスの、この3つのクレーターの列を中央列といいます。この3つの中では一番若く、深さは3,6kmで最も深いです。
内壁は幾重にも重なった段丘
で、美しいです。
中央丘は高さ1630m。
内部には25個を超える小クレーターがあります。
ORION30cm 178MM 6.9ms 4000-10%

2.アルフォンスス
直径 110km
周壁の高さは2300m。
内部には50個ほどの小クレーターがあります。さらに、内部に3個の暗点があります。
細かい谷がたくさん見えます。
1956年 ウィルソン山天文台による赤外線での撮影で変化が見つかりました。
1958年にソ連の天文台で赤い雲が見えたという報告があり、有名になりました。
ORION30cm 178MM 6.9ms 4000-10%

3.プトレメウス
直径 144km
周壁の高さは3000m。
左の小クレーターはプトレメウスA。中央列の中では一番古い。雨の海ができたときの放出物によるひっかき傷がたくさん見えます。窪地が何か所か見えます。
ORION30cm 178MM 6.9ms 4000-10%

4.アルバテグニウス
直径 128km
周壁は高いところで4000m.
内部がたいへん平らで印象的です。
右上(南西)の周壁上の大きなクレーターはクラインです。
下(北)の小クレーターはB。
ORION30cm 178MM 6.9ms 4000-10%

5.ワルター
直径 128km
左下(北東)に山とクレーターがあります。
欠けぎわのときには素晴らしい眺めになります。
私のお気に入りのクレーターです。とにかく美しい。
ORION30cm 178MM 6.9ms 4000-10%

6.レギオモンタヌス
直径 128km
上弦の月を望遠鏡で眺めた時、中央に有名な中央列とよばれる3つのクレーターがまず目を引きますが、そのすぐ上(南)にも、美しい3つのクレーターが並んでいます。上からワルター、レギオモンタヌス、プルバッハです。その真ん中のクレーターがレギオモンタヌスです。この写真では上側の大きいクレーターです。こっちのトリオの方が迫力がありますよ。
おすすめです。
ORION30cm 178MM 6.9ms 4000-10%


7.マウロリクス
直径 115km
南部のクレーターがおびただしく続く地域では、それぞれが区別がつかず訳が分からない感じになります。そのなかでも5~6個のクレーターが重なっていて、良く似た地形がこのマウロリクスと次のステーフラーのあたりの地形です。内部がごちゃごちゃしているのがこのマウロリクスで、なにもなくてなめらかなのがステーフラーです。
下の写真は一日後の内部が良くわかる写真です。
ORION30cm 178MM 6.9ms 4000-10%

8.ステーフラー
直径 126km
このステーフラーのほうが月面中央に近く、この左隣にマウロリクスがあります。
周壁上の左上のクレーターはファラデーです。63km
ファラデーはあの電磁誘導を発見した英国の科学者です。
ORION30cm 178MM 6.9ms 4000-10%

9.アリストテレス
直径 87km
氷の海のなかにある外壁のひだが大変美しいクレーターです。
内部の細かい地形も良く写っていると思います。
観測所のベストショットのひとつです。
左の小さなクレーターはミッチェル。直径30km。
このように、小さなクレーターの上に大きいクレーターがのっているのはめずらしいそうです。
下の写真は1日後に撮影したものです。
内部の地形がよくわかります。
ORION30cm 178MM 6.9ms 4000-10%

10.アルキメデス
直径 83km
内部が大変平坦なクレーターです。これはこのクレーターができてから、数億年後に雨の海からの溶岩が入ってきたからであると考えられています。
38億年前から32億年前に起こった出来事です。
ORION30cm 178MM 6.9ms 4000-50%


11.カッシニ
直径 56km
雨の海の端にある中型のクレーターです。
中にあるクレーターの大きい方は15km、小さい方は9kmの大きさです。
ORION30cm 178MM 6.9ms 4000-10%

13.エラトステネス
直径 58km
32億年前にできました。
アペニン山脈の突端にあるクレーターで、海の溶岩が盛んに噴出していたときにできたクレーターだそうです。それはこのクレーターができた時の放出物の一部が海におおわれていることからわかるそうです。
ORION30cm 178MM 6.9ms 4000-10%

これは別の日に撮影したものです。少し拡大されていて、内部の様子がよくわかると思います。
ORION30cm 178MM 6.9ms 4000-50%

12.アリスティルス
直径 55km
クレーターの外側にのびる放射状の細かい尾根が美しい。
細かい二次クレーターも見ることができます。二次クレーターとは、大きいクレーターが隕石の衝突でできたときに、その破片がまわりにとびちってできる小さなクレーターのことです。
上の中型のクレーターはオートリクスといいます。
ORION30cm 178MM 6.9ms 4000-10%

14.トリスネッカー
直径 26km
中央のクレーターがトリスネッカークレーターです。
その左側に細かい谷がたくさん見えますが、トリスネッカー谷とよばれています。これらは、東西にひっぱる力がくわわってできたものだそうです。
ORION30cm 178MM 6.9ms 4000-10%

これは別の日に撮影したものです。影際で谷の複雑な様子がわかると思います。少しコントラストをあげて、谷の微細な構造ががよくわかるようにしました。
ORION30cm 178MM 6.9ms 4000-50%

15.直線の壁
長さ 134km
高低差は300mで、27度の斜面になっています。
左側の溶岩がかたまって、その重さで沈んでできた正断層です。
ORION30cm 178MM 6.9ms 4000-10%

これは別の日に撮影したものです。少し拡大されていて、壁と左側の谷の様子がよくわかると思います。
ORION30cm 178MM 6.9ms 4000-50%

16.腐敗の沼
たくさんの細かい谷があります。
ORION30cm 178MM 6.9ms 4000-10%

17.レオミュール
直径 48km
中央やや下にある周壁がとぎれとぎれのクレーターです。
そのレオミュールクレーターの左上にのびているのがレオミュール谷です。レオミュールクレーターの下のながく左右にのびている谷は、オポルツァー谷です。ここは、こまかい地形の宝庫です。月の歴史がきざまれているのですね。
ORION30cm 178MM 6.9ms 4000-10%

18.レーティクス
直径 45km
クレーターの右にトリスネッカーからの谷が曲がりながら走っています。
また、左下にはクレーター列がみえます。
ORION30cm 178MM 6.9ms 4000-10%

19.アブルフィーダーのクレーターチェーン
アブルフィーダー 63km
クレーターチェーン 210km
中央やや右下の大きなクレーターがアブルフィーダークレーターです。そこを起点に左上にクレーターが鎖のようにつながっています。分裂した彗星の核が直線的に列をなしてつぎつぎに衝突してできました。
ORION30cm 178MM 6.9ms 4000-10%

20.コノンとコノン谷
直径 21km
谷の長さ 37km
中央やや下のクレーターがコノンです。
その真上蛇の様にくねった谷がコノン谷です。この谷は蛇行谷とよばれ、溶岩が長時間流れて下の地層を溶かしてできたものです。
ORION30cm 178MM 6.9ms 4000-10%

これは別の日に撮影したものです。少し拡大されていて、谷の様子がよくわかると思います。一番下に見えるクレーターがコノンクレーターです。
ORION30cm 178MM 6.9ms 4000-50%

21.クラヴィウス
直径 225km
月の表側で最大のクレーターです。
この中に、四国がすっぽり入ってしまうほどの大きさです。外壁がなだらかで、内部にクレーターが多いことから、古いクレーターであることが分かります。
ORION30cm 178MM 6.9ms 4000-50%

22.コペルニクス
直径 97km
およそ10億年前の隕石の衝突で、できた新しいクレーターです。クレーターの深さは3760mで、富士山くらいです。中央丘の高さは1200mですから、伊吹山くらいです。満月のときには、このクレーターから明るいすじ(光条といいます)が出ているのが見えます。
ORION30cm 178MM 6.9ms 4000-50%

23.ピタトス
直径 97km
内部は溶岩に覆われて非常に滑らかです。外壁にそって谷がぐるりと一周しています。
ORION30cm 178MM 6.9ms 4000-50%

24.プラトー
直径 101km
内部は溶岩に覆われて非常に滑らかです。およそ32億年前におこった雨の海南部の溶岩流出より以前にこのクレーターは出来たと考えられます。
ORION30cm 178MM 6.9ms 4000-50%

25.ハードレー谷
長さ 116km
蛇行谷とよばれる曲がりくねった長い谷です。望遠鏡を使って眼で視ることもできます。非常に美しく、よくもまあこんなものが月にできたものだなあと、感心させられます。もちろん、良く見える性能のいい望遠鏡でないと見えません。
ORION30cm 178MM 6.9ms 4000-50%

26.ポシドニウス
直径 101km
静かの海の東の端にある美しいクレーターです。東半分では尾根が外壁から内側にまわりこんで、床が傾いています。西側ではまるで頭蓋骨の縫合線のように谷が蛇行しています。
ORION30cm 178MM 6.9ms 5000-50%

27.ティオフィルス
直径 99km
比較的新しくできたクレーターで外壁の縁がくっきりとしています。外壁は複数の階段状になっていますし、中央丘もはっきりしています。日本の月探査機かぐやの写真と見比べてみたのですが、かなり対応ができます。地球上の小さな望遠鏡でも月面上の地形が細かく見られる時代になりました。
ORION30cm 178MM 6.9ms 5000-50%

28.フラカストリウス
直径 121km
海の縁に存在するクレータに特徴的な割れ目が見えます。
神酒の海のもとになった巨大な窪み(ベイスンと言います。ベイスンは大きな隕石が原始の月に衝突して出来ました。)の地下にたくさんの割れ目ができて、地下からマグマが上昇して海を作りました。そのマグマが冷えて体積が小さくなり、比重が大きくなって沈降をはじめ、周縁部分に割れ目が生じました。クレーターの中央やや上に見えています。
ORION30cm 178MM 6.9ms 4000-50%

29.グーテンベルグ
直径 69km
中央のクレーターがグーテンベルグで、その右下の丸いクレーターがゴクレニウスです。ゴクレニウスのクレーター床を走る谷が外壁を越えて上の方へ伸びています。これは豊の海を作ったマグマが冷えて重くなり沈降するときにできた割れ目だと考えられています。
ORION30cm 178MM 6.9ms 5000-50%

30.ジャンセン
直径 201km
夕方の三日月を望遠鏡で覗くと良く目立つ大きなクレーターです。小さく粗末な望遠鏡でも良く見えるので、小学生の時によく眺めていました。
紙粘土でこのクレーターの模型を作って夏休みの自由研究にしました。中央にジャンセン谷が走っています。美しい大型のクレーターです。
ORION30cm 178MM 6.9ms 5000-50%